しやべる

悔やまない後の祭り

【小説】「まく子」西加奈子

 

この物語、途中からファンタジーになる。

  

主人公の慧くんは大人になりたくない。うん、めっちゃ分かる。大体、早く大人になりたいか、子供のままでいたいかで苦しむよね。私は早くお年寄りになりたい派。

 

彼から見た女子の体の変化は表現がおもしろい。生理とか。おぞましいか…。生理って血が出ても痛くないことが不気味じゃない?血が出る=痛みだと思ってたし。もちろん生理痛とかあるけど、またそれは別の痛みだし。

 

特に好きだったのは父子が性器を見せ合って、オエッ!だの、きもいだの言ってるシーン。きもいもんはきもい。その感覚は間違ってない。否定しない安心感。エロとグロって共存してない?

 

よく性知識がない子供のことを純粋と表現するし、あらゆる事実を知った時は罪悪感が生まれる。性というもの自体、恥ずかしいものとして扱われる。だから、自分が穢れて悪いことしてるみたいで、思春期はいっぱい悩む。本屋で仕切られてるR18コーナーが妙に気になったりするよね。

 

それはしょうがないことだ、普通なんだと受け入れられるようになるには時間がかかるけど、しばらくは自分に芽生える性欲やらと向き合うしかない。罪悪感や虚しさを乗り越えたら、楽しくなってくるだろうし。きっついなー

 

性に関する知識ってどこから入ってくるんだろう。友達?性教育?ネット?

いずれにしてもさ、実態を掴むのは難しい。友達はおもしろおかしく教えてくるけど、本当のことはよく分からん。学校で習うやつは性行為の仕組みだったりして図で説明されてもはっきりとは理解できないし。結局ネットやら漫画やらで性交シーンを見て徐々に悟るよね。 

 

本当はそんな悩む必要ないのに途切れ途切れで知識が入ってくるから、今までの常識みたいなのが崩れてって、世界中が気持ち悪く見えてしまう。え、大人って何食わぬ顔でそんなことやってたの⁉︎みたいな。

それが、問題だ!とか非難するつもりはないけど、ちょっと酷。

 

最初に言った通り、この物語は途中からファンタジーに染まっていく。文字通り受け入れるのは厳しいけど、そこは感覚で読んじゃえばいいのかな。

西さんの小説はそこが魅力でいつもならすんなり世界観に入っていけるんだけど(「きいろいゾウ」とかね)今回はちょっとついていけなかったかな。

 

そういえば、タイトルの「まく子」に関する女の子について全く触れなかったが、それは私が主人公の少年と同年齢だった頃の自分を振り返り、感傷に浸った結果である。ごめんね、コズエちゃん…

 

表紙の猿の絵のインパクトがすごいし、時折現れる挿絵が非常にツボ。あと、比喩!比喩がめっちゃ素敵です。「モンスターが吐くゲロみたいな色のシャツ」とか「鳩の糞みたいなほくろ」とか。

 

当たり前だけど、人によって感じること、思い出すことは全然違うからいろんな人に読んでほしい本。思春期真っ盛りな人も、ちょっと落ち着いた人も。懐かしさに胸を抉られると思うよ。