しやべる

悔やまない後の祭り

【小説】「カエルの楽園」百田尚樹

 

考えることを放棄した信心は、頑固で脆い

 

タイトルからは想像もできない、深い話だった。カエルの楽園っていうから、てっきりファンタジーか何かかと。

ほかの文庫本に比べて、264ページと少なめだから気休めに読もうと思ってたのにな。

そういえば百田さんの本は、考えさせられるかつ暗いものが多かったような…(「モンスター」という本、おすすめです)

 

私がわざわざ考察をこの場に書き記すまでもない。というのも、巻末の櫻井よしこさんの解説にほとんど書かれているからだ。

いやほんと、まんまだからね。そもそも私は世界情勢や政治の知識も浅いから、中途半端でべらべら喋れないし。とりあえず、さらっと感想だけ。

 

騙されないソクラテス、流されるロベルト、染まりきったツチガエルたち。多様な立場のカエルたちが登場することで、物語はその深みを増していく。 

 

ソクラテスの違和感は読者からすると当たり前であるが、この世界においては異端なのだろう。あれ?おかしいな、と思うことがあっても、その変な感じを馬鹿にしちゃいけないね。考えるのを諦めないの、大事。

 

一部始終、ロベルトにハラハラしていた。ロベルトよ、飲み込まれるな。どんどん洗脳されていくのが怖かった。最終的に目が覚めて良かったよ、ほんとうに。

 

盲目になることは、もしかしたら幸せかもしれない。ナパージュのツチガエルたちは呆れるほど信じてばっかり。馬鹿だなぁと思うけれど、救われた子もたくさんいたんだろうね。

ローラがあまり苦しまずに死ねたのも、三戒を深く信じてたからだし。手足をちぎり取られて血まみれだよ?普通はもっと取り乱すと思う。

絶対に正しいことではないけれど、必ずしも悪いものではないってのが厄介だ。

 

あとは、独裁者のデイブレイク、傍観者で影の支配者のスチームボート、嫌われても意見を曲げず命がけで国を守るハンニバル

キリがないのでこの辺でやめておくが、これだけ個性的なカエルたちが出てくるのだ。面白くならないはずがない。(意見が対立しまくってまとまりきらなかった彼らにとって、良いことではなかっただろうが)

 

もっと社会全体のことを勉強してからもう一度読み直したい本。考察にもってこいの作品。

宗教、歴史、世界情勢、政治、核問題など、あらゆる現代問題とそれらに関わる過去の出来事に詳しい人は、読んでてめっちゃ楽しいと思う。

あんま知らないやーって人は、知識欲をくすぐられるきっかけとなり得るはず。

世界のことをもっと知ろうとしないとダメだ。若さを言い訳にしちゃいけない。

〝本を読むこと〟以上の価値がそこにはあった。