しやべる

悔やまない後の祭り

【小説】「落下する夕方」江國香織

 

しょったものは重いもん、逃げる足取りはやや軽く

 

どういうことだったんだろう。何なんだ、この不可解な話は。終始はてなマークを頭上に浮かべ、ページをめくり続けた。未熟な自分が腹立たしいかぎり。

 

細かい描写がとても魅力的である。別れたはずの男から別れの原因となった女の話を聞かされ続けた時、電話のコードを指に巻きつける動作。苦ったい話のバックで流れるカントリー系の明るい音楽。随所に言葉なき感情がこびりついていた。よく分かんないながらに、ふとした仕草を汲み取っていく感覚。

 

何だ、こいつら。どうかしてるよ、ほんとに。この作品にMVPを与えるとしたら、間違いなく涼子さん。彼女がいなかったら恐ろしいツッコミ不在の世界が訪れていたにちがいない。唯一、私を救ってくれた正論さん。

 

華子さんとはどういった存在だったのか。弟さんとの関係は。何で自殺したの。何だったの、あなたは。考察する余地がとにかく多い人。悲劇がよくお似合いで、小説映えする。憎らしいのに愛らしいから、結局むかつく。

 

ボートの上でおっぱじめたり、髪の毛抜けるほどやらかしたり。何やってんだ。色々と危ないよね。猟奇的。怖いくらい好きになる感情ってどんなんだろう。

執着愛ってやつは、見る分には好き。でもこの人たち、執着とか軽やかに超えてる。粘着だろ、粘着。

 

「はな歌」っていう表記には何か意味があるのかな。鼻歌のことだよね?ここらへんも読み解けたら面白いだろうに。

 

ちょっと私事を挟みますと、牛乳の膜は私も苦手だし、栄養あるからのけちゃだめって小さい頃、怒られてました。カゼインってやつ。ここだけ華子さんに共感。ええ、ここだけね。

 

感想のグダグダ具合からお分かりの通り、私は何一つ読み取れなかった。

疑問と違和感しかない。だって意味がわからない。別れたはずの男女が定期的に電話で言葉を交わすことも、その元凶である女と同居する主人公も。

今まで一度も見たことないよ、歪が一周回ってすっぽり収まっちゃったみたいな恋愛なんて。わけわかんない。

でも、すごくすごく惹かれている。何年か後、今なんかよりうんと色々経験して、歳を重ねて再び読んだら、絶対もっとましな感想が書ける。今はぐっちゃぐちゃの渦の中。ごっちゃごちゃ。

 

おだやかなシリアスがお好きな方は、ぜひ。

あと、アダルティな恋愛を経験されている方なら、奥深くまで味わえるのでは?

お子様には分かんねえ。でも、分かんないなりに物語に引きずり込まれるのもアリだと思う。

数年後に反芻したい、そんな作品でした。